2018年に「17LIVE」で日本人最速となるフォロワー27万人超えを記録、現在はライバー事務所「Grand New Day ,Inc.(グランニューデイ)」の社長も務めるトップライバーの林村ゆかりさんに、ライブ配信業界の現状を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔) 「ライブ配信の特徴は、スマホ1台で誰でも気軽に始められるということ。撮影や編集の技術も必要なく、ある程度のルックスとコミュニケーション能力があればファンがつき収益が得られる。トップ層となると話は変わってきますが、リアルタイムであること、配信のハードルが低いことがYouTuberとの一番の違いです」 現在、国内では大小10以上の配信プラットフォームがあり、オンライン飲みのようなまったりした雰囲気が主流のものや、配信者側の接客色が強いもの、海外の配信者や視聴者が多いものなど、それぞれ特色があるという。投げ銭などの収益はプラットフォームごとに還元率に差があり、時給制のものや、事務所に所属して初めて収益が得られるものなどさまざまだ。視聴者からの「投げ銭」が原資だが、これといった見返りがないにもかかわらず投げ銭が成立するのはなぜなのか。
「芸能人でされている方もいますし、トップ層だと大勢の人が視聴していますが、基本的にはリアルタイムでそこに集まった人だけのクローズドな空間。中規模だと地下アイドルのライブ、小規模だとライバーを中心としたサークルのようなイメージというと分かりやすいでしょうか。視聴者の数はそこまで関係なく、極端な話、太いファン一人で成り立っている配信もある。YouTubeと違ってリアルタイムで双方向のコミュニケーションなので、話し相手や癒やしを求めて配信に来て、そのお礼として投げ銭をされる視聴者の方は多いです。収益はお小遣い稼ぎ程度の人から副業クラス、週に数百万円も稼ぐ人などさまざまです」 一方で、金銭の授受が絡む以上、トラブルに発展するケースも。「Grand New Day ,Inc.」のようなライバーマネジメント事務所は多数あり、育成指導だけでなく会計士による所得税申告や顧問弁護士による相談、誹謗(ひぼう)中傷に対するSNSサポートなども行う。トップライバーに登りつめた林村さんでさえ「一人でやるには限界があった。困ったときに相談できたり、同じ目的を持った仲間が集まる場所を作りたかった」との思いから会社設立に至ったという。